糖尿病とは、膵臓から分泌されるインスリンの作用が不十分なために血液中のブドウ糖の濃度（血糖値）が正常範囲を超えて高くなる病気です。日本人では2型糖尿病が圧倒的に多く、その発症には遺伝的要因もありますが、過食、肥満、運動不足、ストレスなどの生活習慣も強く関係しているといわれています。1型糖尿病という生活習慣とは全く関係なく起こるタイプもあります。
糖尿病は初期症状が乏しく、目立った症状が現れることなく進行する病気です。口渇（のどが渇く）、多飲（のどが渇くために水分を多く摂る）、多尿（尿の量が増える）、体重減少といった自覚症状が現れたころには、かなり進行してしまっていることもあります。さらに、病気が進むと三大合併症と呼ばれる網膜症、腎症、神経障害を発症して、末期には失明したり、透析治療が必要になったりすることもあります。また、心筋梗塞や脳梗塞など、命に関わる病気を引き起こす可能性も高まります。そのため、早いうちから、血糖値をコントロールすることが大切なのです。
糖尿病の予防、あるいは進行を遅らせるためには、生活習慣を見直すことが大切です。しかし、生活習慣の改善だけでは難しいことが多いのが現実です。その場合お薬の出番になります。最近は優れた糖尿病治療薬が多く開発されており、治療の選択肢も増えています。血糖値を下げるだけでなく、腎臓や心臓を保護するなど、優れた作用を併せ持つ薬も出てきました。個々の患者さまの年齢や病状に応じて最適なお薬を提案いたします。
外来治療では血糖値のコントロールが困難な重い糖尿病の場合は、連携する医療機関での入院治療をお勧めすることがあります。教育入院とも言われます。教育入院では、集中的にお薬の調整や食事などの指導を受けることができ、非常に有益です。特にインスリン自己注射の導入などが必要な場合などには、入院で開始することが望ましいとされています。
糖尿病は患者さまにとって非常に長いお付き合いになる病気です。少しでも楽に、良い治療を受けていただけるように二人三脚で頑張らせていただきます。

血圧とは心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押す圧力のことで、高血圧症は、正常範囲よりも高い血圧が続く病態をいいます。
血管の内壁は本来弾力性がありますが、血圧が高い状態が続くと血管の壁に圧力が掛り、次第に厚く、硬くなって動脈硬化を引き起こします。また、高血圧がひどいと、脳出血などを起こす原因にもなります。
高血圧には、他の疾患や薬剤の副作用が原因で起こる二次性高血圧と、原因のはっきりしない本態性高血圧がありますが、日本人の高血圧症の約90％が本態性高血圧といわれています。本態性高血圧は、遺伝的要因と塩分の摂り過ぎ、肥満、過度な飲酒、喫煙、運動不足、精神的なストレスなどの要因が重なって発症すると考えられています。
高血圧症はそれ自体に症状はないため、血圧を測定しないと気づきません。長い間そのままにしてしまうと、徐々に動脈硬化を生じて心不全や狭心症、心筋梗塞といった心臓血管系の病気をまねいたり、脳出血・脳梗塞や腎不全の原因になったりします。まずは、定期的かつ決まった時間に血圧を測定してご自身の血圧を管理しましょう。継続的に行う適度な運動、食生活を中心とした生活習慣の改善が予防と治療に有効です。しかし十分な効果がないのに漫然と生活習慣改善だけで様子を見るのは良くありませんので、数か月しても正常血圧にならなければ迷わずお薬を頼りましょう。20年、30年先の健康のために前向きに治療にのぞんでいただければと思います。

高血圧の診断基準（日本高血圧学会）

家庭血圧
・収縮期血圧（最大血圧）が135mmHg以上
・拡張期血圧（最小血圧）が85mmHg以上

脂質異常症とは、血液中の脂質の値が基準値から外れた状態をいいます。「悪玉コレステロール」といわれるLDLコレステロールや血液中の中性脂肪（トリグリセライド）が必要以上に増えたり、あるいは「善玉コレステロール」であるHDLコレステロールが減ったりする病態です。これらの脂質異常はいずれも、動脈硬化の促進と関連します。特に、LDLコレステロールが増えると、血管の内壁が傷つき沈着してこぶを作り、血管が硬くなります。これが動脈硬化です。一方、HDLコレステロールは、色々な臓器で使いきれずに余ったコレステロールを回収し肝臓に戻す働きがあり、動脈硬化を抑える方向に作用します。つまり、動脈硬化の予防や改善にはLDLコレステロールと中性脂肪を減らし、「善玉」のHDLコレステロールを増やすことが重要になります。
脂質異常症は、それだけではとくに症状が現れることはありませんが、気がつかないうちに血管が傷つけられ、静かに動脈硬化が進行し、脳や心臓の疾患につながるおそれがあります。脂質異常症の主な原因は、食生活（肥満・カロリー過多）や過度な飲酒、喫煙、運動不足などが考えられます。
治療は通常、食事療法と運動療法からはじめます。薬物療法は、これらを行っても脂質管理の目標値が達成できなかったり、持っている危険因子が多く、動脈硬化や動脈硬化による疾患を起こすリスクが高かったりする場合に開始されます。

高尿酸血症とは血液中の尿酸が7.0mg/dlを超える病態をいいます。痛風や腎結石、尿路結石の原因になるほか、肥満や高血圧、脂質異常症、糖尿病を複合的に合併することが多いといえます。
血液中の尿酸が高い状態が続くと、尿酸の結晶が関節に炎症が起きてきます。これを痛風といい、足の親指の付け根などに生じやすく、その名前の通り、風が吹いても痛むほど強いといわれるほど強い痛みを伴います。発作の少し前に、ムズムズするような前兆症状があることもあります。
痛風発作は、消炎鎮痛剤などの治療で1週間～10日ほどで落ち着くことがほとんどです。発作が落ち着いた後で、尿酸降下薬による治療を開始して尿酸値を下げ、痛風発作を予防していきます。食生活の改善も重要であり、プリン体を多く含む食品を避けるなどの生活習慣改善も重要です。